仙台市は、地域の未来を切り拓くスマートシティのフロンティアとなることを目指し、国際的に卓越した研究に取組む東北大学や約70の企業・団体と連携し、様々な分野においてチャレンジングな取組みに挑む「仙台市×東北大学スマートフロンティア協議会」を設立しました。
産・学・官の連携によって、各自が有する技術シーズやノウハウ、ネットワークなどの強みやアセットを有機的に掛け合わせながら、市民ニーズに即した先端サービスの創出と、それに伴う規制改革に向けて、各種の事業に取り組んできました。
国家プロジェクトによる公的資金を活用したスマートシティの実装
協議会における議論を展開するなかで、本市のまちづくりをさらに一歩前進させるべく、減災・防災の備えや情報発信を日常生活に織り込みながら、「日常」と災害時などの「非日常」とをフェーズフリーにつなぎ、安全・安心と賑わいが両立するスマートシティ・プロジェクトを国に提案しました。
この提案は国家プロジェクトに採択され、公的資金も活用しながら以下7つの具体的なサービスを都市に実装しました。以降、本プロジェクトで実装した3つの事例についてご紹介します。
<7つの具体的なサービス>
- 市民・来街者向けポータルの構築/オープンデータを集約したWEBサイトの構築・・・事例①
- デジタルマップの構築
- デマンド交通サービス導入による地域交通の利便性向上
- 電動シェアサイクルによる沿岸エリアの周遊促進
- eスポーツによるデジタルデバイドの解消
- 診療カーによるオンライン診療 ・・・事例②
- 人流センサーによるまちの可視化 ・・・事例③
事例①:「フルデジタルの市役所」に向けて
一つ目は、より快適で暮らしやすい社会の実現に向けた、「フルデジタルの市役所」を目指したプロジェクトです。
市民や来訪者を対象として構築したポータルアプリでは、一人一人にパーソナライズされた情報をプッシュ通知でお知らせするサービスを提供しているほか、災害などの非常時には、誰もが速やかに安全確保ができるよう気象情報や避難情報を提供する役割も担っています。
また、市が保有するオープンデータなどを集約し、活用しやすい手法でわかりやすく確認できるウェブサイトを構築しており、市民や事業者が市内の情報を最大限利活用することで新しい価値を生み出すことを促進しています。
これらポータルアプリやオープンデータウェブサイトの運用によって、本市に関わるすべての「ひと」の豊かな暮らしと活躍を支えることを実現します。
事例②:診療カーによるオンライン診療
二つ目は、「診療カーによるオンライン診療」です。医療・通信機器を搭載した「診療カー」に看護師が乗車し、患者のもとに訪問します。その診療カーと医師をオンラインでつなぎ、診療を行うシステムです。
日本では、対面による診療が原則となっており、オンライン診療の実施にはハードルがあります。仙台市では、患者と医師の双方が受け入れやすく、より質の高いオンライン診療を目指して、国への規制改革提案や、東北大学や市内のスタートアップ企業とともにオンラインでも音質の良い聴診器の開発などにも取り組んでいます。
国内の各地方においては、高齢化や医師不足など、持続可能な医療体制に向けて共通する課題に直面しています。オンライン診療システムはこの課題に対応するソリューションとして、国内他都市からの問い合わせや視察依頼も多く、また国が主催するイベントで紹介されるなど、地域への波及効果も大きな取組みです。
事例③:まちのデータの可視化による都心の回遊性向上
三つ目は、人流や地域のイベントといったまちのデータを可視化し、相互に連携することによって都心の回遊性向上を図る取組みです。
人流データは、仙台市の中心部商店街や道路・公園にかけて設置した、AI技術を活用したセンサーにより、常時通行量を計測しています。2023年に市内中心部で実施したイベントでは、デジタルマップ上で混雑度をリアルタイムに表示する取組みを実施しました。
このような取組みの裾野を広げながら、大規模イベント時の安全対策など、安全・安心なまちの周遊につなげています。
フロンティア実現に向けた今後の展望
ここまで、仙台市が取り組むスマートシティ実現に向けた事業の一例をご紹介しました。産・学・官の連携によって新たな価値を生み出すスマートシティの取組みを通じて、ローカルとグローバル双方の観点から様々な課題に対応しながら、将来にわたって人々により良いサービスを提供し、誰もが住みやすいまちづくりを進めていきます。仙台が、世界の持続的な成長の一翼を担うフロンティアとなれるよう、これからも意欲的にチャレンジを続けていきます。
2017年から仙台市長。衆議院議員時代から東日本大震災の復興に尽力し、「誰一人取り残さないレジリエントな都市」として仙台を世界のモデル都市とすることを目指している。
衆議院議員として4期連続で当選、2005年から2017年までの12年間にわたり、内閣府大臣政務官や復興大臣政務官などの要職を歴任。
また、津波避難情報の提供を目的とした世界初の完全自律型ドローンの試験飛行や、地方自治体のレベルで初めて実施された「仙台防災枠組2015-2030」の中間レビューなど、数々の実績を上げている。

